2020年12月27日日曜日

ココロの言葉(159) 自分の現状を的確に分析し、弱いところ、克服すべき課題が自分でわかり、 自分でそのための学びを工夫できる。 そのような自律的な学び手になることこそ、学校教育の目標にすべきだ。 認知科学者 今井むつみ 「学び」とは何かを認知科学の知見から語った的確な言葉です。 子どもたちへの学習支援をするときの指針にしたいと思います。 子どもの自律につながる教育的サポートができますように。

2020年12月20日日曜日

ココロの言葉(158) ポリフォニー(多声性):それぞれ異なる立場と併存し、 お互いに相対化し合っている状態 伝統的な学校教育は、子どもたちを均一化することが教育目標になっていましたが、いまそれが大きく変わる時代にあります。それを象徴する概念が「ポリフォニー」です。単一の視点や価値観が優位になることなく、自分とは異なる他者を理解する関係性の状態です。すなわち、他者が、自分とは無関係な他人ではない関係です。 無料塾がそんな場でありたいと思います。

2020年12月13日日曜日

ココロの言葉(157) 子どものときの教育は、その後の人生に大きな影響を与える。 それを保証するのが私たちの役割のはず。 もっと大人が頑張らないと。 日本語教師ボランティア 當房詠子 いま日本には、外国籍で日本語ができない子どもたちが各地にいます。彼らが通学する公立学校では、十分な日本語指導がなされていないために、授業についていけないで困っている現状があります。この状況に対して、即戦力になり小回りがきく地域のボランティアによる学習支援が求められています。

2020年12月6日日曜日

ココロの言葉(156) なるべく動きはシンプルな方がいい。 やらないといけないことが増えると、野球はむずかしくなる。 スズキ・イチロー選手 これは、日米の野球界で活躍したイチローさんの言葉で、先日アマチュア指導員として高校生に語ったものです。このことは、教科の学習にも当てはまります。教科の学習法もシンプルな方が、学習効果が高まることがわかってきました。子どもの学習支援にも役立つメッセージです。

2020年12月2日水曜日

ココロの言葉(155) 本来「学び」とは、上から教えこみ成績競争することではなく、 子ども自身が持っている興味・関心を大切に、 その子の個性,感性や力が引き出されるそんな営みであり、 そうであってこそ、子ども時代は幸せになりましょう。 奥地圭子(東京シューレ理事長) 従来の学校は、知識伝達がその目的の一つでしたが、これからの時代は、子どもが学びたくなる環境を構築していくことが重要な役割になるでしょう。心理学的には、子どもの学びの動機付けをいかに的確にしていくかです。そして、子どもが持つ能力をいかに最適化していくかが問われています。

2020年11月22日日曜日

ココロの言葉(154) 子どもを助ける方法は必ずある。 もしうまくいかなければ、それは大人の対応の問題である。 心理学者 アドルフ・アドラー 教育臨床の現場では、子どもがなにか大人にとって不都合な問題を起こすと、すぐに子どものせいにしてしまう傾向が見られます。大人の不備を省みず、「お前が悪い」と、子どもに責任を押しつけます。実際は、大人の方に問題があったのではないかと反省する姿勢が、いま子どもから問われています。

2020年11月15日日曜日

ココロの言葉(153) 不登校の子どもたちは、異常でもなんでもなく、 学校の欺瞞性のようなものを鋭く見抜いている場合が多いように思います。 (吉本隆明) 最近、登校して普通に学びたいのだけれども、教室に入れないために不登校になる子どもが増えています。その理由は様々ですが、一人ひとりのニーズに応えられる学習形態がいま求められています。その解決策の一つとして、無料塾が社会的な資源になれることは確かでしょう。

2020年11月8日日曜日

ココロの言葉(152) 長い目で見れば、教育における関係のありようの方が、 学習している当の教材より大事だということがわかるだろう。 ケネス・ガーゲン(心理学者) 子どもたちは、教科の勉強そのものよりか、そこに集う仲間たちとの交流によって多くのことを学びます。学校教育の役割は、ますますこの人間関係の構築にニーズが高まっています。オンライン授業ではできない大事なリアルなコミュニケーションです。

2020年11月1日日曜日

ココロの言葉(151) 「私には特別な才能などない。 ただ、ものすごく好奇心が強いだけだ」(アインシュタイン) 学習支援で一番大切にしたい要因、それは子ども自身の好奇心です。これに火をつけることができれば、後は少し離れて見ていれば、子ども自身が自主的に学んでいきます。そんなサポートをしていきたいものです。

2020年10月26日月曜日

ココロの言葉(150) 子どもアドボカシー:子どもの声を聞き、そのニーズと権利を支援する活動のこと。 学校教育の当事者は、本来生徒たちですが、実際の運営は教師とシステムを中心に構成されています。まだまだ子ども自身のこえが適切に反映されていません。無料塾が、そんな子どもたちの声を聞き取り、支援できればと思います。

2020年10月18日日曜日

ココロの言葉(149) 「セラピストは、変化が起こりうる環境をつくることだけを支援する。ここで変化を起こすのはクライエントである。」 (精神医学者ミルトン・エリクソン) この心の治療と回復を目的とする心理療法の原理は、そのまま教育にも当てはまります。すなわち、学習支援とは、子どもがよりよく変われるように、学習環境をつくることで、その変化を起こすのは子供たち自身であると。

2020年10月11日日曜日

ココロの言葉(148) 目の前の人のことを第一に考えれば、 制度に収まらないことも出てくるはず。 ボクらは必要とされることに対して、 自由に取り組みたいと思うのだ。 ただじじばばたちと一緒に、 のびのびと過ごしたいだけなのだ。 それが意外と難しいことなのだ。簡単なことなのだ。 「宅老所みつばやあんき 物語」 他者を支援するときに大事なことは、自分の目の前の人のニーズに応えることです。 援助者のための援助になっていることがしばしば見られます。子どもへの学習支援もまったく同じことで、一見難しいようで、自由に取り組めれば簡単なのかもしれません。

2020年10月4日日曜日

ココロの言葉(147) 子どもたちは、教育、指導、評価したがる大人たちのところには寄り付かない。 NPO法人たまり場理事長 西野博之 川崎市で、公設民営の子どもの居場所フリースペースを運営している西野さんは、コロナウイリス禍の最中も開校し続けました。全国でもまれなケースでしょう。それは、子どもはもちろん保護者にとっても必要だったからです。アフターコロナ以後も、子どもたちが地域で安全で安心していられる場が、いま喫緊で求められています。

2020年9月27日日曜日

ココロの言葉(146) 人間が生きる原理、それは希望である。 哲学者 エルンスト・ブロッホ(1885-1977『希望の原理』より) 学習支援の本来の役割は、「希望」にあります。すなわち、子どもたちが学習を通して生きる希望をもてるようになるための支援活動です。このような実践を教育コーチングと言います。他者を援助することによって、自分も幸せになる活動です。無料塾が、そんな場でありたいと思います。

2020年9月21日月曜日

ココロの言葉(145) 世界はできるだけ多様で自由で、スキマがあった方が豊かだと思います。 文化人類学者 小川さやか 子どもたちの成長を支援する学校も、できるだけ自由でスキマがあった方が、多様性が活かされ、その結果ひとり一人の個性が発揮されます。いま、新型コロナの影響で、これからの学校教育に求められる姿が明確になってきたように思います。

2020年9月13日日曜日

ココロの言葉(144) 不機嫌は無言の暴力、ご機嫌は活性への一歩    日本授業UD(ユニバーサルデザイン)学会 川上康則 子どもたちへの学習支援で、もっとも重要な要因は、支援者の姿勢です。支援者の能力はもちろん必要ですが、それ以上に学習効果を高めるものが、心理学的には支援者の子どもに対するポジティブな表情と気持ちです。この姿勢が、子どもの学習意欲を活性化し、学習効果を高めることが研究でわかっています。ご機嫌で子どもたちに接すること自体が、学習支援になります。

2020年9月6日日曜日

ココロの言葉(143) 「弱さ」には、人と人をつなげ、 謙虚さと新しい可能性を生み出す力があります。 当事者の理念より 世間一般では、自分がもつ「弱さ」は隠すべき恥ずかしいこととされてきました。 しかし、当事者研究の分野では、「弱さ」という個人情報が、みんなで分かち合う生活情報にしていきます。自分と他者を理解し、協力して生きていくための資源となります。 この理念は、ありのままの子どもを育てる学校教育でも活用できる理念になるでしょう。

2020年8月30日日曜日

ココロの言葉(142) 自分の能力をどう把握するかによって、 その子どもの能力に影響してくる。 心理学者 アルバート・バンデューラ   子どもの学習支援で効果的な方法が、教育心理学的にいくつかありますが、 その第一が「よい関係を築く」ことです。学校現場ではよく起こることですが、 教科の好き嫌いは、教師によって決まることが多々あります。その担当教師との相性が大きく影響してきます。  大事なことは、子どもが「やればできる」という自己効力感をもてる人間関係を形成することでしょう。

2020年8月23日日曜日

ココロの言葉(141) すべての子どもにとって、 すべての大人は環境問題である。 作家・落合恵子 子どもが学習するうえで、教師など学習支援する大人は、それに影響を与える環境そのものと言えます。実際に、なにを、どう教えるかよりも、だれが教えるかの方が重要であることは、だれもが感じていることです。 今後の学校教育で、教科内容、指導法そして教材よりかは、どんな教師、どんな支援者なのかが問われてくることは確かでしょう。

2020年8月16日日曜日

ココロの言葉(140) 教育でもっとも大切なことは、先生と子どもたちとの関係です。 リアルな両者の関係が教育の本質です。 それをスクリーンで代償することはできません。 教育学者 ダイアン・ラビッチ博士 私たちのコミュニケーションは、言葉によるバーバル・コミュニケーションと言葉以外の非言語によるノンバーバル・コミュニケーションで成り立っています。通常の生活では、だいたい8割から9割が後者の非言語のコミュニケーションでなされています。 コロナ以後の学校教育に求められているのは、ネットによる情報の伝達よりは、人間同士のリアルな関係になってくるでしょう。リアルな人間関係で学ぶことが、教育の本質だからです。

2020年8月10日月曜日

ココロの言葉(139) 学びは、個人が教材と向き合うことで成り立っているわけではない。 ともに学ぶ仲間がいて、対話や共同作業を通じて学びを確かめられるからこそ、 生きた知識として実用可能となる。 霊長類学者・山極寿一 いま、新型コロナウイルスの影響でオンライン授業が普及していますが、 中高生や大学生に感想を聞くと、その多くが正直にこう言っています。 「実際の教室の授業の半分しか頭に入ってこない」と。 私たちの学びは、同じ空間で、五感すべてを使い、身体を通して相互交流を通して、 学習しているのでしょう。いわば「三密」が学びの原点なのかもしれません。これからの学校教育に求められていることが明確になってきように思います。

2020年8月3日月曜日

ココロの言葉(138) 子どもひとり一人の目標を応援するために、 ポジティブな変化をもたらすアプローチとコミュニケーション、 それが学校コーチングである。 学校コーチングの定義 人類史の中で、世界的疫病が流布した後の世界は、大きく変わっていることが歴史的に証明されています。今回のコロナウイルスによるパンデミックで、社会は劇的に変わって、 教育にも多大な影響をもたらすでしょう。 そこで、これからの学校教育に必要とされていることは、従来のような教科指導や生活指導ではなく、子ども一人ひとりが自主的に自分を活かし、自立していく力を育成することがメインとなるでしょう。 その実現のために、学校コーチングの予防的援助技術が役立つことは確かです。

2020年7月26日日曜日


ココロの言葉(137)

 

人生は予測できない。

キャリアは思いがけないできごとに左右される。

キャリア心理学の理論

 

「キャリア」とは、職業、生涯の仕事のことで、最近のキャリア心理学では、運が人生にどのような影響を与えるかが研究されています。その一つの成果が「偶然理論」です。

人生のキャリアは、将来の予測に基づいて行動計画を立てるよりも、偶然を自分のためにいかに活かすかが重要であるといいます。すなわち、日々の偶然での出来事によって、本人も自覚していなかった新しい分野に対する興味が出てきて、好奇心をもって学んでいくというものです。

子どもたちの将来のよきキャリアのために、偶然による学びが無料塾にありますように。

2020年7月19日日曜日


ココロの言葉(136)

 

人を助けることが、自分を助けることになる。

社会心理学者 リースマン

 

子どもたちへの学習支援で利益を得るのはもちろん子どもですが、同時に支援者もそれによって大きな利益を受けます。その原理・原則を「援助者療法原理」「ヘルパーセラピー原則」といいます。さらにいうと援助をする人が、最も援助を受けるともいわれます。

無料塾での活動で大事にしたい原理・原則であり、精神です。

 

 

 

2020年7月12日日曜日


ココロの言葉(135)

 

最も聡明で創造的で自立的思考を備えた子どもや成人が、

行動障害、情緒障害、精神障害と誤診されている。

臨床心理学者 ジェイムズ・ウエッブ

 

いま世界中で「ギフティッド(gifted)」と呼ばれている子どもたちがいます。

英語の「ギフティッド」とは、(神から)才能を与えられたという意味で、その特徴は、

平均的な知能とはかけ離れた高い能力を持っていることです。そのために、周囲から理解されず、偏見や差別を受けやすい子どもたちです。特に学校では、「問題児」「変人」扱いされる傾向があります。
このギフティッドの子どもたちが持つ才能は、社会を豊かにする黄金であることは確かでしょう。日本でもこのような子どもたちの能力を活かす教

2020年7月5日日曜日


ココロの言葉(134)

 

「学ぶことを学ぶ」力の発達を支援すること、

「学び続ける態度」を養うことこそが、

真の意味での「教育」なのではないでしょうか。

リヒテル直子(オランダの教育研究者)

 

日本の学校教育のほとんどが、現在でも画一的な一斉授業の教育実践をしています。

そこで子どもたちに求められることは、教師が教える「正解」です。新型コロナの影響によるオンライン授業でもこの傾向は変わりません。むしろ強まっているとさえいえます。

無料塾では、一人ひとりの自主性と好奇心を大事にして、学びの本質を尊重していきたいと思います。それがポストコロナの教育に求められています。

2020年6月28日日曜日


ココロの言葉(133)

 

本来、学校は子どもたちが、

社会を主体的によりよく生きていくためにあるはずで、

子どもは自ら主体的になって学んでこそ、もっとも成長を遂げます。

工藤勇一(中学高校校長)

 

子どもの学習支援の無料塾を3年間して、気づいたことがあります。

それは、無料塾を利用する中学生で、成績が目に見えて伸びる子どもは、無料塾で

自主的に勉強していることです。その反対に、親に言われたので参加している子は、

なんとなく宿題だけをしていて、成績に伸びが見られません。

この両者を分ける要因が、子どもの主体性です。これが学びの質を高めます。学習支援で、もっとも大切にしたいことです。

2020年6月21日日曜日


ココロの言葉(132)

 

楽観視できる人には、ドーナッツが見えるが、

悲観視しかできない人には、穴しか見えない

詩人 オスカーーワイルド(1859-1900)

 

緊急事態宣言が全国で解除され、久しぶりに学校が平常に戻りつつあります。

世間では学習の遅れと格差が問題になっていますが、それ以前に注意しなければならないことがあります。それが子どもたちのメンタルヘルス(こころの健康)です。

精神状態が学習に大きな影響を与えることは、経験的にも学術的にも明らかになっています。特に、その子自身が、自分の心の状態をわかっていることが大事です。その能力をメンタルヘルス・リテラシーといいます。今後の学習支援のポイントになるでしょう。

 

2020年6月14日日曜日


ココロの言葉(131)

 

すべての教育実践は子どもの知性的な、感性的な成熟を支援するためにある。

それに資するかどうかだけを基準にして、教育実践の適否は判断されるべきである。

思想家・内田樹

 

最近話題になっているベストセラー『サル化する世界』で、内田氏は、学校教育の核心について語っています。社会の仕組みそのものが「生物の進化」に逆行していることを

「人間がサル化している」と表現しています。

子どもたちを「サル化」ではなく、知性的、感性的、霊性的な成熟、進化するための知恵が学校教育の実践で求められています。

2020年6月7日日曜日


ココロの言葉(130)

 

たいていの教科書の内容は、

一時的にしか役立たないが、

自己志向の道具は、

ずっと長い間、人生で役立つ。

心理学者 アルバート・バンデューラ

 

「自己志向」とは、自分自身を方向づけする学習能力を意味しています。

この自己志向となる道具をいかに身につけていくことができるかが、

劇的に変動する社会にあって、学校教育に求められています。人生に意味を与えてくれる知識と体験を提供する学校が―。

 

2020年5月30日土曜日


ココロの言葉(129)

 

重要なことは、問いを発することをやめないこと

アルバート・アインシュタイン(1879-1955)

 

近代学校教育のモデルは、古代ギリシャにその起源があります。哲学者と市民が、広場でさまざまなことに問いかけをする活動をしていました。この哲学問答を通して、知の探究がなされていました。

また、東洋でも同じように、インドと中国において宗教者による問答形式で教育活動がなされていました。この問いを発するスタイルこそが、歴史的に「学び」の原点です。

そして社会の変革期のいま、正解のある問題を解くことが中心の学習から脱して、問いを発する本来の学びに戻ることが必要とされています。

 

 

2020年5月23日土曜日


ココロの言葉(128)

 

学校は、子どもたちに、

身体と脳の働き、自分の情動の理解の仕方、

情動の取り組み方を教えることができる。

ベッセル・ヴァン・デア・コーク(精神医学者)

 

トラウマ(心の傷)の治療を専門にしている研究者は、学校が子どものレジリエンスを身につけるうえで重要な役割を果たす、と述べています。レジリエンスとは、通常「回復力」と訳されていますが、教育的には、私たちが日常生活でさまざまなストレスや困難を克服して生きていく力を意味しています。

このレジリエンスの力は、学習能力を根本から支える必要不可欠な要因であることが、最近の研究からもわかってきました。この力が育っている子どもは、自分にとって必要な知識を自学自習で学んでいきます。

コロナウイルス後の社会で、学校にもっとも求められる役割になるでしょう。

(『身体はトラウマを記録する』より)

2020年5月17日日曜日


ココロの言葉(127)

 

子どもが学習する脳を保つうえで、

最も大事な要素は、身体的、情緒的、

そして学習者としての安心感である。

スチュアート・アンカー(心理学者)

 

最近の認知科学、脳科学の研究成果から、子どもの学習効果を高める要因がわかってきました。それは、安全な学習環境が生み出す「安心感」です。子どもが、「ここは、安全で安心して学習できる」と思える場所です。

この安心感は、学習内容や学習法を支える必要条件と言われています。脳にストレスを与えず、リラックスして集中できる学習環境になります。

この原理は、無料塾を支える科学的エビデンスになっています。学校と家庭に加えて、第三の場としての学習環境が子どもたちから求められています。

 

 

2020年5月10日日曜日


ココロの言葉(126)

 

むしろおれ、仕事も学校も、ある意味で、

いま枠組みが崩壊しているから、

ふだんなにかつまんなかったのか、

本当はなにがしたいのか、

ニュートラルに問いやすいときじゃないか。

絵本作家 五味太郎

 

いま世界中が、新型コロナウイルスで不安定の中で、

五味氏は「チャンス」だと子どもたちにいいます。

なぜなら、「いろんなことの本質」が露呈されているからだと。

なにかどうでもいいことで、本当に大切なことはなにかが―。

学校教育でも、このことが問われています。

もうコロナ以前の社会には戻らないでしょう。

コロナ以後の学校教育を構築していかなければならない時代を迎えています。

2020年5月3日日曜日


ココロの言葉(125)

 

現代の学校教育でもっとも深刻な問題は、

学ぶ意欲そのものが失われていることである。

河野哲也(教育哲学者)

 

いまの中学高校生の多くは、教科の点数をよくして、少しでも偏差値の高い学校に進学することを目的に勉強させられています。確かに勉強する動機付けとしてはわかりやすいのですが、本来の学びのおもしろさを味わうことがありませんので、思うように成績が上がらないと、すぐにやる気がなくなってしまいます。

この現状を変えるためには、まず、教師が学びの意味を再考する必要があります。そして、教師自身が学んでワクワクしている姿を子どもにモデルとして示すのが、最も効果的な方法でしょう。そんな教師がいる学校は、子どもにとっていい学校になります。

 

 

 

2020年4月26日日曜日


ココロの言葉(124)

 

哲学的には、教育の本来の目的は、

すべての子どもが将来「自由」に生きられる力を育み、

社会では互いの自由を尊重し合うことを学ぶことだと言えます。

苫野一徳(教育哲学者)

 

いま新型コロナウイルスの影響により、全国の学校や学習塾の多くが休校になっています。この教育状況は、これまでの学校教育のやり方を維持するという立場から見ると「危機」になります。しかし、改革が必要という視点から捉えると「チャンス」になります。

今後どのようになるかは不確実性に満ちていますが、「チャンス」として活かしていく姿勢が教育関係者に求められています。そのときに学校教育の質を高めるために、教育の本来の目的を再確認することが大事になるでしょう。

 

 

 

2020年4月18日土曜日


ココロの言葉(123)

 

学校は社会を映す鏡なので、

常に生徒たちの間に格差は存在するものだ。

でも、それが拡大するままに放置されている場所にはなんというかこう、勢いがない。

陰気に硬直して、新しいものや楽しいことが生まれそうな感じがしない。

ブレディみかこ(『ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー』より)

 

学校というところは、確かに「社会を映す鏡」と言えます。社会現象の縮図のような場所です。そのひとつの現象が、経済的格差による子どもの学力格差でしょう。

この社会的問題をいかに解決していくかに学校と教師の力量が試されているといえます。

そのために必要なことは、新しいものや楽しいことが生まれる環境をつくり上げることでしょう。

2020年4月12日日曜日


ココロの言葉(122)

 

ネガティブ・ケイパビリティとは、

短期に事実や理由を求めることなく、

不確かさや、不可解なことや、疑惑ある状態の中に

人が留まることができる時に見出される能力のこと。

ジョン・キーツ(1797-1821)

 

「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉は、19世紀にイギリスの詩人キーツが称えたもので、直訳すると消極的な能力、ものごとの結論を待つ姿勢を意味します。

学校教育の視点から言えば、すぐに問題の正解を求めず、「わからない」ことは正直にわからないと認める姿勢をいいます。そして、なぜそのような答えになるのかをじっと考え、自分自身で見極めるプロセスを大事にすることです。

これからの子どもへの学習支援で、大事に育てたい能力です。

 

 

2020年4月5日日曜日


ココロの言葉(121)

 

大事なのは、自分の正直な気持ちをまず認めること。

そこからどうポジティブに変換していけるか、

的確な分析や目標設定が必要になります。

松岡修造(スポーツキャスター)

 

松岡修造氏は、「もっと熱くなれ!」と、多くの人たちを元気づけているポジティブ思考の実践者ですが、元々は自分をネガティブ人間と言っています。そこで打開策として、自ら生み出した方法が、「脳内変換術」です。ネガティブ思考をポジティブ思考に脳内で変換する技法です。

自分が勉強していて、壁にぶち当たったときに、脱出法として役立つ心理技法になります。

また、学習支援をするときのサポート法としても活用できます。

「ネガティブを生かし、ポジティブに生きていきたい!」(『修造流、脳内変換術』)と語っています。

 

2020年3月31日火曜日


ココロの言葉(120)

 

「ものを習う」というのは、「知っている人間」から「やり方」の説明を聞き、

それを自分なりに受け入れ、与えられた課題に応用してみて、

うまくいかないときはどこがちがっていたのかを指導してもらう、

とう対話的、双方向的なコミュニケーションをおこなうという、ただそれだけのことです。

内田樹(シリーズ『道徳を考える』より)

 

現代の思想家である内田氏は、このように学習支援について明確に述べています。

「学力」とは、自ら学ぶ力であり、試験の点数や偏差値ではないと。そして、その学ぶ力を構成する条件を三つ挙げています。

「学びたいんです。先生教えてください。お願いします」すなわち、自分がわからないことを知り、メンターである人物を見つけ、教えてもらえるようにするということです。

無料塾での学習支援の意義をシンプルに語っています。

 

2020年3月17日火曜日


ココロの言葉(119)

 

日本の教育は、はじめからあまり思考させないシステムになっています。

口では「みんな、自分で考える人間になってほしい」と言います。

実際はそうなっていません。

アルボムレ・スマナサーラ長老

 

スリランカでの子どもたちへの教育実践と大学での教授経験がある長老は、日本の教育の問題点を明確に指摘しています。無料塾での子どもたちの勉強を見ていると、全く同じ印象を持ちます。

特に、五教科の副教材として配布されているワークブックは、テレビのクイズ番組とほとんど同じ内容で、ただ穴埋めの「正解」だけが求められています。それを黙々と解いている姿をみると、「自分で考える」ことがないがしろにされていると感じます。

いま、子どもたちに学びのおもしろさを体験できる学習支援が求められているように思います。

 

2020年3月5日木曜日


ココロの言葉(118)

 

みんなのなかでもしかしたら、

人にはいえない困っていることを抱えているお友だちがいるかもしれないけど、

ぜひ勇気を出して「困っているんだ」ということを

伝える練習をしてみてくださいね。

小児科医 熊谷晋一郎(『小児科の先生が車椅子だったら』から)

 

最近の中高校生を見ていると、明らかに困っているようにみえるのに、

だれにも助けを求めない傾向があります。身近なひとに、ちょっと支援を求めればいいのにと思える場面がよくあります。そのような場面は、生活面だけではなく、学習の場面でもよく見られます。

「困ったとき」「わからないとき」に信頼できる身近な人に支援を求めたり、相談したりできる力がいま子どもたちに必要とされています。

 

 

 

 

2020年2月16日日曜日


ココロの言葉(117)

 

高信頼性組織とは、失敗をした個人の責任を問わずに、

組織として失敗を切り返さない取り組みをする組織のこと。

「高信頼性組織」の定義

 

1980年代にアメリカの経営学の分野で使われ始めた概念が、この高信頼性組織です。安全で安心な組織をいかに効率的に維持していくか研究したところ、主要な4つの要因が見つかりました。それが学習、信頼、正義、勇気です。これらは、まさに学校教育の核となるものでもあります。

学校での生徒の問題を個人のせいにするのではなく、組織の問題として捉える視点がいま求められています。

2020年2月9日日曜日


ココロの言葉(116)

 

人はみんな、それぞれ違っていて、それぞれ尊い。

心理学者 トム。キッドウッド(1938-1998)

 

この言葉は、「パーソン・センタード・ケア」という概念を構築した認知症の研究者の提言です。その人らしさを尊重し、その人に立場に立った適切なケアをすることを意味しています。

この精神を日本の認知症研究の先駆者である長谷川和夫は、次のように表現しています。

「やさしくおだやかに、待ってそして聴くこと、その人らしさを大切に」

子どもたちの支援にもそのまま当てはまる対人関係の根本原理でしょう。

2020年1月14日火曜日


ココロの言葉(114)

 

社会のゆがみは、最も弱い人間のところに影響を落とす。

子どもたち、若者たちの生み出す問題は、

私たちのゆがんだ社会の問題を顕在化している。

しかし、そのことに気づいている人は少ない。

水谷修(夜回り先生)

 

子どもたちの問題行動の背景には、必ず大人社会のゆがみが存在します。

いま学校でのいじめ問題の背景に大人社会のパワハラという人権侵害があります。

実際、子ども同士の陰惨ないじめがある学校には、教師間のパワハラといういじめが

あるケースが多く報告されています。

そこで大事なことは、「根本原因」を探ることではないか、と青少年問題の専門家で、

夜回り先生として知られる水谷修氏は言います。

(『壊れゆく子どもたち』より)

2020年1月8日水曜日


ココロの言葉(113)

 

現在、情報を詰め込むこむことに重点を置いている学校が多すぎる

歴史学者 ユヴァル・ノア・ハラリ

 

これまでの学校教育の役割は、子どもたちに情報を詰め込むことがメインでした。

この方法は歴史的にも道理がありました。しかし、21世紀のいま、私たちはITの発達により膨大な情報にさらされています。
そこで、これからの教育に求められることは、変化に対処し、新しいことを学び、馴染みのない状況下でも心の安定を保つ能力を育成することにある、とハラリ氏は言います。

2020年1月2日木曜日


ココロの言葉(112)

 

人々が必要としているのは、情報ではなく、情報を理解したり、

重要なものと、そうでないものを見分けたりする能力、

そして何より、大量の情報の断片を結びつけて、

世の中の状況を幅広く捉える能力だ。

歴史学者 ユヴァル・ノア・ハラリ

 

いま世界的なベストセラーとなっている『サピエンス全史』『ホモ・デウス』の著者であるハラリ氏は、人類は前代未聞の革命に直面しているのに、新しい物語は今のところ現れていないと主張しています。

そして、子どもたちの教育についても、なにを教えるべきかその適切な答えが見つからないと語っています。確かなことは、「変化だけが唯一不変である」と。

(『21レッスンズ―21世紀の人類のための21の思考』より)