2019年8月29日木曜日


ココロの言葉(94)

 

育児と子育ては、経済的発展と同義であり、

両立しなければ、国の未来はない。

社会福祉学者 石川瞭子

 

日本の子ども・家庭に関する福祉政策は、北欧などの先進国に比べると、

数十年遅れているといわれています。マスメディアでも報道される子どもの虐待事件が、

それを物語っています。

最近では、「教育虐待」という事件が取り上げられています。親が子どもの人権を侵害して、強制的になされる教育的暴力です。虐待事件は、一人ひとりの子どもの人権を尊重した育児と子育てが、社会の安全と安心の確立にとって、いかに大事であるかを教えてくれます。

児童期と思春期では、子どもへの学習支援が、虐待の予防策でもあり、最大の支援になります。子どもの意志と人格を尊重した学習支援が、いま求められています。

 

 

2019年8月21日水曜日


ココロ(93)

 

「学んで成長する自分」を確信した子どもは、

困難や危機を自己の成長につなぐことができる。

心理学者 中原美恵

 

10代で親になった女性の支援をしている中原氏は、彼女たちの多くは、

子ども時代に学ぶことの意味やそれが自分を支える力になることを実感できず、

学んで成長する過程を拒否している、と言います。そして、人と繋がらないで、自ら逃げて孤立していく傾向があると。

10代の児童期・思春期に、自ら学んで成長する体験が、その後の人生に大きく影響することが、この研究からわかります。そして、学びの大切さが―。

2019年8月15日木曜日


ココロの言葉(92)

 

子どもには、自分を育てる力が備わっている。

マリア・モンテッソーリ(医師・教育家 1870~1952)

 

日本では乳幼児期の教育としてよく知られているモンテッソーリ教育は、思春期の子どもの学習支援に有効な知恵にあふれています。その一つが、「自己教育力」という言葉です。

子どもは適切な環境を整えてあげれば、自発的に学習に取り組む内在的な力があるという考え方です。そして、モンテッソーリ教育では、子どもにとって不必要な援助は、発達の障害になると言っています。

自己教育力の尊重は、一人ひとりの子どもの自立を促し、自由な生き方ができる人間を育てる教育法であり、いま学校教育でも重視すべき概念でしょう。

 

 

2019年8月7日水曜日


ココロの言葉(91)

 

大人たちが解決策が見つからない、としたり顔で言っているような問題も

子どもたちは、軽くとび越えていくと思う。未来はそんなに悪くない。

あの子たちを見ていると、そう信じられます。

ブレイディ・みかこ(保育士・ライター・コラムニスト)

 

「あの子たち」とは、いま英国で多様性や社会的な包摂が大切という保育・教育を受けてきた世代の子どもたちのことです。英国で保育士をしていて、現場の子どもたちを観察して出てきた実感でしょう。

日本の学校教育でも、子どもたちを観察していると同じように思うことがあります。

いまを生きる子どもたちのセンスと能力を邪魔しない自主性を尊重する教育支援が、大人たちに求められています。

 

2019年8月1日木曜日


ココロの言葉(90)

 

これからの教師の力とは、すべての子どもの学習権の保障を前提にして、

人の支援を活用する力をつけることです。

木村泰子(大空小学校初代校長)

 

学校教育で教師がプロフェッショナルとして身につけなければならない能力は、

専門知識や集団指導力とか、その他たくさんありますが、木村氏は「人の力を活用する力」であると明言しています。 

かつてのように「学級王国」の王様として担当教師が、クラスの子どもの対応をすべてしなければいけない時代は終わったと。そもそもそんなことはできないし、子どもの真の成長に結びつかないと言えます。では、どうすればいいのか。

それは、その子どもに最適な対応ができる人に頼めばいいのです。そのような人の支援を活用する力が、いまの教師に求められています。