2022年12月25日日曜日

ココロの言葉(263) 子どもたちが、仕事は与えられるものだと思ってしまう教育ではダメなのです。 起業家になるための教育が導入されるべきです。 ムハマド・ヤヌス(バングラデッシュの経済学者) グラミン銀行の創設者であり、貧困層の自立基盤を支援してきたことが評価され、2006年にノーベル平和賞を受賞したヤヌス氏は、私たちが与えられた仕事の奴隷になるのではなく、その主人になる働き方を訴えています、コロナパンデミックによる経済的格差が拡大した今、社会的課題の解決と収益の両立が実現するソーシャルビジネスをつくる人材が求められています。

2022年12月18日日曜日

ココロの言葉(262) 人とのつながりは、家族や親友などの「強いつながり」以外に、 「弱いつながり」「ゆるく、かるいつながり」「サラっとしたつながり」など、 さまざまなカタチがあっていいはずですね。 伊藤幹夫(『新しい地域ネットワークの教科書』より) 地域共生社会に向かう具体的なアプローチを創造するための活動をしている伊藤氏は、人と人との「弱いつながりの強さ」が、逆に多様な広い人とのつながりを形成すると言います。そのような場で学んだ知識は、子どもたちが将来生きるスキルとして役立ち、ロールモデルになると―。

2022年12月11日日曜日

ココロの言葉(261) いまあるものを、いまあるうちに楽しむ。 いまあることに感謝し、 やがてそれを手放し、 つぎにやって来るものを歓迎する。 ジル・テイラー(神経解剖学者) テイラー博士は、37歳のときに脳出血により左脳の機能をすべて失い、8年間のリハビリの末、脳機能を回復しました。その体験を『奇蹟の脳』で書き、世界的なベストセラーになりました。現在は、ハーバード大学脳組織ブレインバンクの研究員です。この言葉には、私たちが人生で選択すべき生き方が示されています。

2022年12月4日日曜日

ココロの言葉(260) 子どもたちは、大人が考えているよりもずっと理解できるし、 自分で判断して行動が起こせる。 子どもは弱者、そう決めつけることによって、 そういう存在にされてしまっているだけだ。 在宅医療専門医師 紅谷浩之 (医療的ケア児との活動オレンジキッズケアラボ運営) 私たちは、子どもに対応するときに、子どもを未熟なものとして見てしまい、不適切な指導をすることがしばしばあります。しかし、深い心の領域である魂レベルでは、大人と対等な関係にあります、そんなスタンスが、学習支援でも大切になってきます。その子どもが持っている本来の能力を高めるために―。

2022年11月27日日曜日

ココロの言葉(259) 今の子どもたちは、大人になるまでに、 非常に大きな天変地異にあう可能性があります。 天変地異が起きても、絶望せず、生き抜いてもらうために、 自分で考え判断する力を身につけてほしい。 教室に座らされて大人しくさせておいても、 自分で判断する力は養われません。   養老孟司(解剖学者) コロナ騒動後、世界は激変しています。パンデミック対策による社会生活はもちろん、気象変動に見られるように自然環境も大きく変わってきています。そんな状況にあって、学校教育も変わらなければならないでしょう。既成の知識を伝えるだけではなく、前代未聞の想定外の出来事にどう対応し、生き伸びていく力を育てるために―。

2022年11月20日日曜日

ココロの言葉(258) 学校があまりに「一律」なのが問題の根本だと思います。 もっと柔軟に多様な学び方や個性を認めれば、 「変わった子」も排除されず、生きやすい社会につながります。 中邑賢裕(東大先端研シニアリサーチャー) いま日本の学校では、性格や認知の働きの違いにすぎない特徴をもった子どもたちを「発達障害」と決めつけてしまう傾向があります。これからの少子化の時代で、そうした子どもたちの特性を「障害」ではなく、「個性」として育てていく教育実践が、人材育成の視点からもせつに求められています。

2022年11月13日日曜日

ココロの言葉(257) いろんな人が誰かを支えることに協力してくれる。 誰もが支えられることに協力してくれる。 誰もが支えられる側に回れることが,だんだんわかってきました。 村木厚子(「若草プロジェクト」代表よびかけ人) 元厚労省事務次官の村木氏は、社会で困っている人たちには、二つの共通点があるといいます。①複数の困難が重なっていること ②社会とのつながりが切られていること。 このことは、学習につまずいている子どもたちにも共通します。学校と家庭以外のサードプレイスでの学習支援が、その解決策につながります。  

2022年11月6日日曜日

ココロの言葉(256) 学ぶことは人として自然な営みであり、 人は一生学ぶ存在です。 その力をつける支援こそが真の学習支援であり、 心理的支援と表裏一体なのです。 千原雅代(心理学者) 目に見える教科の学習支援と目に見えない心理的な支援は、まさに表裏一体といえます。 両者のことは、子どもと支援者の間で同期しています。それこそが、学習支援のダイナミズムです。この現象は、ネット空間よりも、リアルな現場の方が、強く影響していることが実証されています。

2022年10月30日日曜日

ココロの言葉(255) 防ぎたいのは、子どもたちが、 社会から孤立していくこと。 認定NPO法人カタリバ(子どもへの教育支援団体)今村久美  先日、文科省から令和3年度の「不登校」に関する調査結果か発表されました。全国の小中学生約24万人が、年間の長期欠席が30日以上の不登校の子どもたちです。少子化にもかかわらず、10年前の2倍になっています。不登校の理由には、さまざまな要因が考えられ、本人もわからないケースが増えています。そして、その一番の問題は、社会からの孤立です。学校関係以外の安心できる社会的な居場所が、各地域で必要とされています。

2022年10月23日日曜日

ココロの言葉(254) 青年期の脳は、社会的かつ感情的な学習とそのための探検や交流、 そして、思い切った冒険をする準備が整っているが、 それらすべては、私たち大人が若者に、 どのような学びの機会を与えるかにかかっている。 心理学者 フリーニ 十代の思春期と二十代の青春期は、人生の発達段階で、生理学的にも社会的にも最適な学習の時期です。この畤期の身体と脳の変化は、急激で不安定になります。そんなときに、大人がどのような学びの場を提供できるかが、若者のその後の人生に多大な影響を及ぼすことがわかっています。そのためにサードプレイスとしての学びの場が、彼らの成長に役立つでしょう。

2022年10月16日日曜日

コロの言葉(253) 生物学的には、私たちの脳と身体は、 今もサバンナにいる。 アンデシュ・ハンセン(『運動脳』より) 学習能力を高める一番の方法は、自分の身体を動かすこと―運動であると。運動は、脳の認知機能を向上させ、海馬の記憶力を活性化させるというエビデンスがあります。知力の向上につながります。勉強する気になれないときは、外に出て走れ、そうすれば、やる気になり集中できると―

2022年10月9日日曜日

ココロの言葉(252) メンタルトレーニングでは、思考と行動を変えることによって、 感情と身体反応をコントロールする。 スポーツメンタルコーチ 笠井彰 私たちの感情と体の反応は、自分でコントロールできませんが、思考と行動は自分の意思でコントロールできます。この原理は、学習支援にも活用できます。すなわち、学習することの認知を変えることで、動機付けをし、「やる気」を高めます。 子ども自身が、自主的に学習する姿勢を形成することができます。これが学習支援のカギとなります。

2022年10月2日日曜日

ココロの言葉(251) 教育とは、子どもの適性を無視して、 あらゆる情報を教え込もうとすることではなく、 子どもが本来持っている可能性を 発揮するためにこそ行なわれるべきものだ。 安藤寿康(行動遺伝学者) 日本の学校教育は、最近子どもの多様性を尊重するといいながら、実際はいまでも、かなり画一的な一斉授業がなされています。その弊害が、子どもたちに顕著に現れてきています。それが教育格差を増大させる要因になっています。いま、学校視線ではなく、子ども視線で教育実践する姿勢が教育関係者に求められています。

2022年9月25日日曜日

ココロの言葉(250) 家や名前で決まるのではない。 王でも貧しくとも人々が認め、能力を発揮できる、 それが新しい世界の掟なんだ。 映画「スーパー30アーナンド先生の教室」(2022年)より 「親ガチャ」が話題になっている日本の社会で、いま注目すべき作品が、この映画です。インドのビハール州に民間の無料塾「スーパー30」を2003年に設立し、全国から経済的には貧しいが、優秀な子どもたちを集め、無償で生活と教育を提供しています。その創設者が映画の主人公であるアーナンド先生です。その成果は、インドで一番の難関大学であるインド工科大学に多くの生徒が毎年入学していることに現われています。アジアで最も優れた学習塾として、『タイム』でも紹介されました。

2022年9月18日日曜日

ココロの言葉(249) これからの社会は、「最終学歴」ではなく、 「最新学習歴」を更新していく社会になる。 本間本人(京都造形大学副学長) いま社会に必要とされていることは、過去の学歴ではなく、現在なにを学んでいて、なにができるかが重要になるといいます。教科書の知識を頭に詰め込む時代から、最新の知識を学び、それを社会に活かしていく時代に変化しています。まさに学びのパラダイムシフトが起きています。

2022年9月11日日曜日

ココロの言葉(248) 人は互恵的に行動することによってのみ、 感情と考え方が刷新され、心が広くなり、 相互理解を深めることができる。 フランスの思想家トクヴィル(1805-1859) この言葉は、「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」の概念で、お互いを信頼して、積極的に人間関係やネットワークを構築して、社会的問題を解決し、生きのびる能力を意味します。私たちの学びは、本来一人でするものではなく、人と人との社会的な相互理解で成り立っていて、そこに学びの本質と意味があるといえます。

2022年9月4日日曜日

ココロの言葉(247) ヒトの脳は他人を必要としている。 正常な脳の機能は、周囲の社会ネットワークに依存している。 私たちの神経細胞ニューロンが、成長し生きのびるためには、 他の人々のニューロンが欠かせない。 脳神経科学者 D.イーグルマン(『あなたの脳のはなし』) 私たちの脳は、先天的にできあがった状態ではなく、自分が生きる環境に合わせて形成されることが研究でわかっています。脳は、環境に適応するために働き、学習します。この原理からいえることは、自分一人での学習よりも、他者がいる公共の場の方が、学習効果が高まるということです。自宅での勉強よりも図書館などでの自習の方が、集中できるのは、第三者がいて、適度の緊張感がある環境だからかもしれません。

2022年8月28日日曜日

ココロの言葉(246) 個人の功績が、その個人ひとりのものであることはまれで、 教師や親や友人、そして家族やコミュニティの仲間の 総力によることの方が遥かに多い。 教育学者 ジョー・ボアラー 世界的なオンライン講座(MOOC)の数学教育カリキュラムの制作者で、BBCが選ぶ「教育を変える8人」に名を連ねるスタンフォード大学のボアラー教授はこういいます。学習(ラーニング)とは、共同作業であり、他者とつながり、考えを共有することであり、それが学びの本質であると。(『無限なるマインド』より)

2022年8月21日日曜日

ココロの言葉(245) 親のやるべきことはただひとつ、 純粋で自然なこの宇宙のことを 子どもにねじ曲げて伝えたり、 宇宙の最も完璧な創造物から切り離したりしないこと、 ただそれだけ。 『アナスタシス:響き渡るシベリア杉』より シベリアの原生林で、自然と調和して暮らすアナスタシスと呼ばれる女性の言葉です。 家庭や学校での教育では、子どもに「すべき」ことが声高に主張されますが、「しない」 で大事に育てる視点も忘れてはならないでしょう。そんなことをアナスタシスは教えてくれます。

2022年8月14日日曜日

ココロの言葉(244) 大人が、子どもに一般的な価値観では、 可能性があることを理解し、 子どもの全存在を受けとめられた時、 子どもは確実に深い信頼感を持って、 自分自身を大事にするようになります。 運動科学者 高岡英夫 学習支援というと、一般的になにか教科を教えることをイメージしますが、 それ以上に大事なことは、子ども自身が自主的に学ぼうとする気持ちをサポートすることでしょう。そのために必要なことは、第三者として、その子を全面的に受け入れ、認めてあげることです。そうすれば、自分に必要な学びの動機付けがなされることが、さまざまな研究からわかってきています。

2022年8月7日日曜日

ココロの言葉(243) 成長型マインドセット:人間の基本的資質は、 自分の努力しだいで伸ばすことができるという信念のこと 心理学者 キャロル・デウエック 「マインドセット」とは、ものごとに対する考え方、心の持ち方を意味します。 これが前向きで、しなやかなタイプを「成長型マインドセット」といい、その反対のタイプを「固定型マインドセット」といいます。学習によってその子の能力が伸びるかどうかは、このマインドセットが大きく影響を与え、前者のタイプが、成長を促進することがわかっています。すなわち、学習に向かうしなやかな思いと姿勢が、本来的に持っている能力を高めるということです。

2022年7月31日日曜日

ココロの言葉(242) 日本では、少子化が進んでいるにもかかわらず、 ここ3,4年の傾向として、毎年およそ2万人ずつ 不登校が増えているという異常事態なのです。 精神科医 斎藤環 文科省の2020年度の調査によると、小中学生の不登校人口は、19万6000人と史上最多となった。その背景には、学校教育の制度疲労があると齋藤氏はいいます。不登校のみならず、いじめ問題や学力格差についても同じことが言えます。問題なのは、子どもではなく、制度としての学校の構造と働きにあることに教育関係者が気づき、抜本的に改革をしていく必要があり、決して子ども自身や家庭のせいにしてはいけません。

2022年7月24日日曜日

ココロの言葉(241) 脳がどう機能するかだけではなく、なぜ、そう機能するか。 それを知っておくことが重要なのです。 自分の脳より賢くなりましょう。 精神医学者 アンデッシュ・ハンセン(『ストレス脳』より) 私たちは、脳が自分の思考と行為を決めていると思っていますが、最新の研究では、自分が脳をコントロールできることがわかってきました。この原理は、子どもの学習意欲を高めることにも応用できます。これこそが学習支援の核となることでしょう。

2022年7月17日日曜日

ココロの言葉(240) 学生が教師からの情報に対して自ら働きかける。 そして掘り下げる=身体化する 広げる=関連づける そうした構築のための努力なしには、知識は生み出されない。 また、そうした協力によって、教師にも認知的変化が起こる。 認知科学者 鈴木宏明 現代の認知科学では、学び、学習の成果を「認知的変化」と言います。 それは、単なる情報の伝達ではなく、習得した知識によって認知が変わることを意味します。そのメカニズムは無意識的なもので、教師である支援者と学習者との協同作業であるといいます。それが教育であると―。(『私たちはどう学んでいるのか』より)

2022年7月10日日曜日

ココロの言葉(239) 「わかる」ということは、 「かわる」ということ。 理論物理学者 佐伯晴夫(『永遠という名の「今」を生きる』より) 教育とは、相手の人生を変えることであり、これまで当たり前のことが、当たり前でなくなることであると、佐伯氏はいいます。それが学習することの意味であり、目的でもあると―。いま、まさにこの学習観が求められています。

2022年7月3日日曜日

ココロの言葉(238) 子どもが伸びる時には、 本気に一気に、あっという間に成長するんです。 乾いたスポンジが水を吸うように。 スイッチが入ったら、後は周りがなにもしなくとも、 ぐいぐい学んでくれる。 思想家 内田樹(『教育鼎談―子どもの未来のために』より) 子どもたちは、なにがキッカケで、自主的に学び始めるかは、だれにもわかりませんが、 子ども自身が「やりたい」と心から思うことに支援するアプローチは、「やる気」のスイッチをオンにすることにつながることが、最近の心理学研究でも実証されています。

2022年6月26日日曜日

ココロの言葉(237) ギフティッドは、標準と異なる特性を持つ 例外的で、並はずれた能力を持つ子どもである。 その特性にあった特別な支援を必要としている。 臨床心理学者 ジェイムズ・ウエブ 日本ではまだ、「ギフティッド」とか「タレンティド」とされる子どもたちへの支援がほとんどなされていません。彼らは、ある分野で習得が早く、秀でている特性があります。世間で言う「天才」ではありませんが、平均的で一律的な学校教育にはなじまない傾向が見られます。そんなギフティッドの能力を活かす学習支援がいま必要とされています。

2022年6月19日日曜日

ココロの言葉(236) 健全な「コントロール感」は、 大人が子どもに望むほとんどのこと すなわち、心身の健康、学業成績、幸福など に関連していることが研究でわかった。 臨床神経心理学者 ウイリアム・スティックランド 「コントロール感」というのは、自分のことは、自分の意志で決めて行動しているという信念を意味します。これを育てるのが、教育の一番の役割であり、子どもの人生の成功につながることが脳科学の研究から判明してきました。 そして、これこそが、学習支援の本来の目的であり、役割でしょう。

2022年6月12日日曜日

ココロの言葉(235) JUST DO IT(ジャスト・ドウ・イット) スポーツメーカーNIKE(ナイキ)のスローガン  私たちは、過去を変えることができませんし、未来をコントロールすることもできません。私たちができることは、ここでできることをポジティブにすることです。いま現在、自分がやるべきことを機嫌よくする。そんなメッセージが「Just Do It」には含まれています。子どもたちの学習支援にも役立つスローガンです。    

2022年6月5日日曜日

ココロの言葉(234) 個々の子どもの主体性と異年齢の子どもの協働を尊重し、 科目別の時間割をやめて、 学校生活を対話、仕事、遊び、行事という四活動の循環で企画し、 学校を子どもと教員と保護者からなる共同体とみなす。 イエナプラン教育のヴィジョン いま、ポストコロナの新時代にあって、教育も大きく変わることが社会から要請されています。どう変わればいいのか? この教育ヴィジョンが参考になります。 今後の地域の教育活動の柱として、無料塾でも実践の指針にしたいと思います。

2022年5月29日日曜日

ココロの言葉(233) 産婆術(さんばじゅつ):古代ギリシャの哲学者ソクラテスが称えた問答による教育法 現代教育の最先端をいく北欧の学校では、最近、日本で言う「先生」のことを「ティーチャー(教師)」ではなく「ファシリテーター(支援促進者)」を使うようになっています。その仕事は、既成の問題の解答を教えるのではなく、子どもが発する問いの答えを生み出すのを促進する役割をすることにあります。 そして、ソクラテスは、問答による対話によって、よりよく生きること、そして魂のケアをすることが教育の目的であると約二千五百年前に称えています。

2022年5月22日日曜日

ココロの言葉(232) なんらかの行動のことを考えると、 その前に意図があったかどうかにかかわらず、 その行動を取る可能性が増えてくる。 イデオモーター効果 この効果は「プライミング(先行刺激)効果」の一つで、無意識レベルでも、ある観念が頭にあると、それに関連した言葉や概念が想起され、その後の言動に影響を与えるというものです。これは学習のモチベーションを高めるのにも使えます。すなわち、学習する場があるということ自体が、学習意欲につながります。学習以前にその環境を整えることがいかに大切さがわかります.

2022年5月15日日曜日

ココロの言葉(231) 「面白くてたまらない」という状態になるのがよい。 そうすることで、脳の扁桃体と海馬が一体となって、 もっとも効率よく学習が進む。 脳科学者 茂木健一郎 脳科学の知見では、学習効果を最大に高める方法は、ヒトの情動を司る扁桃体と記憶を司る海馬が一体となることだといいます。自分が「おもしろい」と思えることをすることが、最適な学習法であり、苦手な教科から勉強するのは、学習意欲の低下になると。

2022年5月8日日曜日

ココロの言葉(230) 安全であると感じることは、 生理学的な状態に依存しており、 「安全」という合図は、 自立神経系を穏やかにする。 精神医学者 ステファン・ポージェス 学習能力を向上させるために、最も重要な要因が「安全」であるという研究があります。 生理学的に安全な状態であることで、自立神経系が整い、心身共にバランス調整がなされ、 健康を促進します。「ポリヴェーガル理論」と呼ばれています。学習支援の土台になる理論といえます。

2022年5月1日日曜日

ココロの言葉(229) もし大人が、気がそぞろに十のことをしていたら、 たぶん、子どももそれをまねて、同じようにするだろう。 逆に、教師が集中して、子どもと一対一で向き合えば、 それは、子どもに「注意を向けるとはこういうことだよ」と、 子どもに身をもって示すことになる。 全米公式セクター・モテッソーリ教育センター エリザベス・スレード  日本では幼児教育法として知られるモンテッソーリ教育では、「すべては共に発達する」を基盤にして、子どもの自主性を尊重することを特徴としています。そして、子どもの学力を育てるのに大切なことは、学習の手本を示すことであると言います。大人が学ぶ姿勢のよきロールモデルになることが、最高の学習支援になるということです。

2022年4月24日日曜日

ココロの言葉(228) 最大の才能とは、「自分そのもの」でいることだよ。 すべての存在が本来自分の才能を持って生まれてきている。 自分が自分の才能に気づいたとき、 まわりのひとつひとつが、原子も分子も、それぞれの才能に気づくんだ。 心理学者 イハレアカレ・ヒューレン博士  一般的に「学習」とは、新しい知識や技術を習得して、能力を向上させることを意味しますが、もうひとつの役割があります。それは、子どもが本来持っている才能を開花させることです。学習支援をするときに、この視点はとても大切で、子どもが自分の才能に気づけるようにサポートすることで、自らの才能を自覚し、イキイキとその力を自主的に発揮していきます。

2022年4月17日日曜日

ココロの言葉(227) ポジティブな人間関係が、心理・感情・身体の健康に働くのは確かだが、 研究で明らかになったことは、それらの有利な働きが、 他者に貢献することで生じるということだ。 キム・キャメロン(『困難な組織を動かす人は、どこが違うか』より) 日常生活での人間関係の状態が、私たちの健康や幸福度など人生の質に大きな影響を与えています。それがポジティブな関係性であれば、その質が高まり健康維持に役立ち、反対にネガティブであれば低下して病気になることがわかってきました。 この人間関係の特徴は、学習支援にも当てはまります。学習者と支援者との関係性が、その効果に大きく影響してきます。なにをどう教えるかよりも重要な要因かもしれません。

2022年4月10日日曜日

ココロの言葉(226) 新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、 私たちが長い間当たり前だと思っていた集まる場や交流の場を奪った。 それと同時に、コロナ禍から立ち上がり、 公衆衛生や気候変動や社会の分断といった21世紀の課題に立ち向かうとき、 こうした場や交流がいかに必要になるかも思い出させてくれた。 エリック・クリネンバーグ著『集まる場所が必要だ』 私たちは通常、子どもたちへの学習支援というと、すぐになにかの教科を教えることをイメージしますが、それと同時に、子どもたちが同じ空間にいて自主的に学習をすること自体に教育心理学的な効果があります。それは、私たちの脳が、環境に適応するためにシンクロ(同期)するためと言われています。無料塾の居場所が、そんな居場所でありますように。

2022年4月3日日曜日

ココロの言葉(225) 親という立場からすれば、 子どもになにかの力を身につけさせたいと思うかもしれないが、 子どもは自然であって、自然はひとりでに展開していくものであろう。 解剖学者 養老孟司(『子どもが心配』より) 養老氏が、子どもの教育について、四人の識者と語り合ったときの言葉です。大人ができることは、子どもたちが自然に十全に育っていく環境を用意することであると。 学習支援の視点から言えば、子どもに問題の正解を教えるのではなく、それについて自ら考える力を育てることが大事で、「自然」な支援につながります。

2022年3月27日日曜日

ココロの言葉(224) 大切なのは、子どもが目的のないおしゃべりができる余白をもって、 人とつながる時間を持てることです。 認定NPO法人カタリバ代表理事 今村久美 コロナ後の子どもの支援で大事なことは、「人とつながる」ことであると、中高生の教育支援と居場所づくりに取り組んでいる今村氏はいいます。そして、学校やその他の居場所は、親の価値観から抜け出せる場でもあると。 いま、家庭や学校から距離をおいた自由な公共空間の第三の場(サードプレイス)が、思春期の子どもたちに必要とされています。

2022年3月20日日曜日

ココロの言葉(223) もっともよい教師は、子どもとともに笑う。 もっともよくない教師は、子どもを笑う。 アレクサンダー・ニイル(1883-1973)  20世紀に「自由教育」を提唱した英国の教育学者ニイルは、子どもの自由な意思を第一に尊重しました。その理念でつくられた学校が、サマーヒル学園です。子どもと共に生き、 子どもの見方と生き方の形成の支援をするのが、教師の役割とします。21世紀の子ども支援でも、もっとも大事にしなければならない精神でしょう。

2022年3月13日日曜日

ココロの言葉(222) 学びというのは、本人一人ひとりが自分の関心を深めて、 最終的には自分がなにに興味を持って、 どんなことをやりたい人間なのか、 ということを見つけるための営みだと思う。 教育学者 汐見稔幸 コロナ騒動が、やっと終わろうとしています。コロナ禍は、私たちに多様な学びのスタイルを示してくれました。すなわち、学校だけが学びの場ではなく、通常の一斉授業以外にいろいろな方法があるということです。 地域での無料塾という場が、今後の子どもたちの新しい学びのスタイルとして役立ちますように。

2022年3月6日日曜日

ココロの言葉(221) 非認知能力は、読み書き計算のように 教えて身に付くものではない。 子どもを取り巻く「環境」の産物である。 ポール・タフ(『私たちは子どもになにができるか―非認知能力を育み、格差に挑む』) テストの点数(偏差値)では測定できない非認知能力の要因には、好奇心、自制心、忍耐力などがあります。この能力は、環境によって形成され、人生の質を高めることが研究でわかってきました。子どもたちがネットではなく、リアルで対面する教育環境が、この非認知能力の育成にいかに大切であるかが再認識されています。

2022年2月27日日曜日

ココロの言葉(220) 現代社会では、さまざまなストレスによって、 メンタルに不調をきたす人が多く、 特に若者においては重要な課題になっている。 『心の病気にかかる子どもたち―精神疾患の予防と回復』都立松沢病院院長 水野雅文 コロナ禍の影響によって、子どもたちに不要なストレスがふりかかっています。十代の自殺率の増加は、その現れといえます。生涯における精神疾患の発症の約75%は、25歳未満といわれます。 いま日本では、若者のメンタルヘルスのために、家でも学校でもない心地よい「第三の居場所(サードプレイス)」が必要とされています。

2022年2月20日日曜日

ココロの言葉(219) 遺伝と経験、可塑性と、発達の力は、 相互に作用しあい、共鳴し、 私たちひとり一人語句徳の存在にしているのである。 神経科学者 D・リンデン(『あなたがあなたであることの科学』より) ヒトがもつ能力は、生まれか、育ちか? 最新の研究では、遺伝と環境の相互作用だとされます。両方が相互に影響し合っているということです。特に、知的な能力は、環境が遺伝に大きな影響を与え、お互いに強めあう性質があります。学習が遺伝的要因に与える効果です。

2022年2月13日日曜日

ココロの言葉(218) 私には特別な才能などない。 ただ、ものすごく好奇心が強いだけだ。 理論物理学者 アインシュタイン(1879-1955) 20世紀の天才といわれるアインシュタインの率直な言葉です。「好奇心」こそが、学びの核であり、動力源となるものです。心理学的には、この好奇心が、子どもの潜在能力を開花させ、育ててくれます。好奇心のスイッチを入れる学習支援が、コロナパンデミック終息後の社会に求められています。

2022年2月6日日曜日

ココロの言葉(217) 自分には強み(ストレングス)があり、そのおかげでイキイキと輝ける。 そして、自分の強みは、楽観的見方とレジリエンス(柔軟性・回復力)を養い、 人生での目標を達成するための原動力となる。 リー・ウオーターズ(国際ポジティブ心理学会会長) ポジティブ心理学は、ものごとに対する楽観的な見方や自分が持つ「強み」が、人生を豊かにする方法について探究する心理学です。強みは、3つの要素―得意・熱意・頻度であり、能力×努力によって開発されます。強みは、子どもたちへの学習支援を効果的に高めるキーワードです。

2022年1月30日日曜日

ココロの言葉(216) 子育ての悩みの9割は、 年齢とともに解決する。 心療内科医 明橋大二  子育てカウンセラーとしても知られ、累計400万部のベストセラー「子育てハッピーアドバイス」シリーズの著者の名言です。特に、思春期の悩みや問題のほとんどは、成長すれば自然に解決します。そのときに、大事なことは、子どもの成長の妨げになることをしないことです。信頼して、見守ることが最適なサポートになります。

2022年1月23日日曜日

ココロの言葉(215) 創造性のある科学者に必要なのは、 いい頭ではなく、「強い地頭」。 自問自答、自学自習ができないといけない。 野依良治(のよりりょうじ)2001年ノーベル化学賞受賞 世間には、さまざまな学習法が紹介され使われていますが、一番大事で効果的な学習法は、 自学自習です。好奇心を持って、自ら問い、考え、答えることです。子どもたちに必要なのは、テストの点数ではなく、自学自習できる環境と習慣でしょう。それが、一人ひとりの学力向上につながっていきます。

2022年1月16日日曜日

ココロの言葉(214) わたしがここにいるのは、 あなたがここにいてくれているからです。 逆に、あなたがここにいるのも、私がここにいるからです。 ユマニチュード創設者 イヴ・ジネスト 「ユマニチュード」とは、知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションに基づいたケアの技法です。特に介護福祉の分野で活用されている原理であり実践法でもます。人と人との絆は、お互いの尊重であり、それによって私たちは「人間」となるといいます。子どもの学習支援でもっとも大事にしなければならないことでしょう。

2022年1月9日日曜日

ココロの言葉(213) 皆が十人十色なのに、 周囲に同調して生き続けるのは相当無理があり、 その暴発こそが心配である。 精神科医 きたやまおさむ 多様性が尊重される社会にあって、日本の学校では相変わらず画一的な学びがなされています。コロナ禍の影響で、さらに同調圧力がはびこって閉塞的になっています。そんな現代の教育環境の中で、無料塾がもう一つの居場所として役に立てばと思います。

2022年1月2日日曜日

ココロの言葉(212) 人生においては、たびたび、 障壁だと思っていたことが、 すばらしい幸運に転じることもあります。 ルース・B・ギンズバーグ(1933~2020) 米国最高裁判事を27年間にわたって勤め、「ノートリアス(栄誉ある悪名)RBG」の名で知られ、Tシャツのデザインにもなった現代アメリカ社会のヒロインの言葉です。「あのとき、こうだったら」と思えることが、その後の人生で幸運をもたらすことになると。『ルース・B・ギンズバーグ名言集―新しい時、新しい日がやってくる』より。