2017年9月6日水曜日


ココロの言葉(11)

 

私たちは、人生をすっかり変えなければ、

幸せになれない、健康になれない、あれもこれもできない、

と思い込んでしまいます。

しかし、マインドセット(*)の科学が証明していることが、逆の方法です。

まずは、自分の考え方を変えれば、望んでいるような変化が、

つぎつぎと起こり始めるのです。

健康心理学者 ケリー・マクゴニカル

 

「マインドセット」とは、自分の中にある思い込みのことです。すなわち、自分の価値観を反映した中心的な信念を意味します。たとえば、「ものごとは、こういうものだ」「こういときは、こうしなければならない」といった考え方です。

 私たちは、他者や社会を変えることはできませんが、自分自身を変えることは、自由にできます。この原理は、自分の能力にも当てはまります。たとえば、「できる」と思えば、それができる可能性が高まりますが、「できない」と思えば、逆に低くなります。

 すなわち、ものごとについて、どう考えるかによって、ものごとから受ける影響は変化するのです。ポジティブに考えれば、ポジティブになり、その反対にネガティブに考えれば、その結果はネガティブになる傾向があります。

 この心理学的発見は、学習効果を高めるのに利用できます。成績を上げるために必要なのは、「やればできる」と思えるようになることです。そんな学習支援をしていきたいと思います。

 

2017年8月30日水曜日


ココロの言葉(10)

 

「学校なんか行かなくてもいい」という言葉は非常に大切だし、真理でもある。

                      曽野綾子「透明な歳月の光」より

 

 現在日本では、学習の場は、公の学校と民間の学習塾に限られていますが、もっとさまざまな学習の場が必要とされています。その背景にいまの子どもたちの多様性が考えられます。学校臨床で子どもたちの支援をしている教育関係者の多くが、このことを実感しています。

 実際、いまの集団教育を柱とした学校の教育活動の限界に対して、多くの子どもたちが息苦しさを感じ、悲鳴を上げています。この傾向は、「発達」の特性を持った子どもたちに顕著に表れています。現在公立学校では、特別支援教育という形で学習支援がなされていますが、あまりに不十分な状態です。

 いまの学校教育にはなじめず、不適応を起こしているが、「学びたい」と思っている子どもたちの真のニーズに応えるサポートが求められています。そんな可能性を無料塾というなんの制約もないボランティアの教育活動で探っていけたらと思います。

2017年8月17日木曜日


ココロの言葉(9)

 

不登校は、「いのちの非常口」です。

心理カウンセラー 内田良子

 

 日本では、学校の休み明けに、たくさんの十代の子どもたちが、自らいのちを絶っています。内閣府の集計による過去42年間(1972~2013)の18歳以下の日別自殺者数をみると、毎年9月1日にその人数が最大になっています。この日は通常、二学期が始まる日です。次に多い月は、4月の初旬です。言うまでもなく春の新学年の時期です。

 この4月と9月に、「学校を休むのはいけないこと」「自分は生きる価値がない」と自分を責めて、各月で100人前後の子どもたちが死を選んでいます。ここには、自殺未遂の人数は含まれていません。この人数も加えたらかなりの人数になることが推定されます。

 すべての子どもたちに「学校を休む権利」があります。これは、「児童の権利に関する条約」で国際的に保障されています。日本は、1994年に批准し、その5月から発行されています。一般的に「子どもの権利条約」と呼ばれています。

 そこで、周囲の大人たちができることは、「学校を休む権利」があることを理解することです。そして、そのスタンスで子どもたちに対応することです。そうすることで、子どもたちが責められることなく、気持ちが少し楽になり、どうすればいいかを冷静に検討できます。登校するか休むか、または別な方法か、さまざまな選択肢があることがみえてくるでしょう。

 あまり無理しないで、ゆっくり休むことも自分の権利だとわかるだけで、若いいのちを守ることができます。

 

 

 

 

2017年7月23日日曜日


ココロの言葉(8)

 

人生にどんな状況が訪れるかを決められないが、

どのような態度で向き合うかを決めることができる。

インド哲学ヴェーダの教え

 

いま日本の社会では、貧困格差が話題になっています。政府も「子どもの貧困対策推進法」を施行しています。確かに経済的な貧困は、生活の質を低下させますが、それがイコール精神的な貧困を意味しません。子どもたちをサポートする上で、このことはとても大事なポイントになります。

私たちは、通常第三者にお金の支援をすることはできませんが、精神的な支援をすることは、その意思があれば誰でもできます。

無料塾での学習支援もその一手段と考えています。

2017年7月10日月曜日


ココロ(7)

 

ものごとについてどう考えるかによって、

そのことから受ける影響は変わる。

最近の認知科学研究の成果から

 

学校で思春期の子どもたちの姿を見ていると、ストレスがあまりなく順風に見える生徒よりも、ストレスをかかえて逆風を生きている生徒の方が、たくましく大人に見えることがしばしばあります。そのような生徒のカウンセリングをしていると、その生徒が直面するストレス状況にチャレンジして逆境を乗り越えていこうとする姿勢に心打たれます。

人生で避けられないストレス状況にチャレンジしている成長していく子どもたちにかかわり、サポートできることに教育実践の醍醐味を感じます。

2017年6月26日月曜日


 

ココロの言葉(6)

 

親が自分のことで困っている姿をみるのが、一番の悩みだった。

不特定多数の不登校体験者の声

 

不登校をすることは、よくないことなのか。

学校へ行かない、または行けない子どもに問題があるからなのか。

その理由と責任を子どもに求めることが適切なのか。

いま改めてこのことを考えてみなければならないのではないでしょうか。

 

そのことを客観的に検討するのに役立つのが『未来の学校』(*)という本です。著者は、ハーバード大学のイノベーション研究所の研究員のトニー・ワーグナー氏で、21世紀の学校教育に求められているものをさまざまな研究成果を踏まえて提案しています。

 著者は、これからの未来社会を創造していく子どもたちを育てる優れた授業の要素を、次の三つ挙げています。

1)生徒自らが学び続ける能力の育成をすること

2)子どもたちの学びの動機付けをすること

3)学習の達成度をペーパー試験ではなく、「パフォーマンス評価」ですること

 

 これら3要素は、まさに学校教育の実践に求められていることであることは、学校臨床に携わる人たちが実感していることです。

 いま学校教育が、抜本的に変わらなければならないときにきています。

最近、学校で不適応を起こす子どもたちの姿を見ていると、変わらなくてはいけないのは、学校の古いシステムではないか。子どもたちを無理やり従来のやり方に適応させるのではなく、子どもたちのニーズに適した教育支援が求められているのでしょう。

 不登校の子どもたちは、現代社会における「炭鉱のカナリヤ」として教育的危機とその改善を訴えかけているように思います。

 

 *『未来の学校』トニー・ワグナー、陳玉玲訳、玉川大学出版会、2017

2017年6月19日月曜日


ココロの言葉(5)

 

いじめがあるのに気がつかない、そんなことがよくあるものです。

いじめはある順番で進行していくのですが、この順番が実に巧妙で、

だから気がつかれにくいのです。

  中井久夫(『いじめのある世界に生きる君たちへ―いじめられっ子であった精神科医の送る言葉』から)中央公論社、2016

 

精神科医で、いじめられ体験がある中井久夫氏は、いじめが進んでいく段階を次の三つに分けています。

第一段階は、「孤立化」で、いじめのターゲットにされ、その理由を周囲に周知されます。

第二段階は、「無力化」で、反撃は無駄だと被害者に観念させます。

第三段階は、「透明化」で、いじめが普通の風景になり、見えなくなってしまいます。

これらのプロセスを経て、被害者を奴隷のような人間にしてしまうのが、いじめの構造です。

では、その対策は、どうすればいいのでしょうか。中井氏は、シンプルに以下のように語っています。

 

「まずいじめられている子どもの安全の確保であり、孤立感の解消であり、二度と孤立させないという大人の責任ある補償の言葉であり、その実行である。」

 

そして、本書では、もうひとつ注目すべき言葉が書かれています。それは、現代精神医学のマスターセラピストの一人といわれるミルトン・エリクソンの指摘です。心理療法を学んでいる弟子が、子どもの面接を二週間延期したことに対して、「子どもにとって二週間は、永遠に等しい」と叱っています。

 

困っている子ども、被害にあっている子どもにとって、苦痛な時間は永遠に続くように感じます。ですから、周囲の大人たちは、子どものSOSに早期に気づき、迅速に必要なサポートをすることがいかに大切かを教えてくれます。